MY STORY
私と音楽とセラピーの出会い

これは、私と音楽とセラピーとの出会いの物語です。
私は、海が目の前に広がる小さな港町に生まれました。子供時代は、海や川、洞窟探検などをして自然の中で思う存分遊び回っていました。私がまだ小さかった頃、田舎にあった私の家は、あちらこちらに草原が広がり、ある家ではヤギを飼い、ニワトリやクジャク、馬なども人間と一緒に生活していました。私の家でも家族は皆、動物が大好きでうさぎや犬などの動物と一緒に長閑に暮らしていました。
広い庭には、季節ごとに咲く花々や、大きく育った桜の木や栗の木などもあり、朝早くに綺麗な色の鳥達が木々や草花に集まってさえずり、それはとても愛らしく微笑ましい光景なのです。庭はいつも綺麗に手入れがされ、四季折々の草花が咲き、自分達で食べる分の野菜を育て、大地から生まれたての新鮮な野菜を食べて育ちました。
3歳を迎える頃、私は母にピアノを習いたいと言って、それから長い間、音楽に親しむようになりました。クラシックの古い時代の教会音楽やバロック時代のスタイルが特に気に入って、レコードを持ち出し、ピアノで真似をするというような遊び弾きをして楽しんでいました。19歳のとき、看護士の仕事をしていた母の職業への憧れもあり、医学系や薬学系へ進路を決めようかと随分迷った末、結局、幼少の頃から続けて来たクラシック音楽を学びに上京しました。想像していたものとは、だいぶ違っていましたが、ごく普通に学生生活を終えて社会の中へ出て行きました。
不器用ながらも続けてきた音楽も学生時代にひどく身体を酷使してしまったのが祟り、数年間音楽から遠ざかることになりました。社会へ出たものの音楽の道をこれからどうやって生きて行こうか、思うように動かない手では断念するしかないと途方に暮れる日々が続き、このままで良いはずもなく、断念をするならば“本物の世界”を見てみたいという気持ちが沸き上がり、社会人生活を送って5年が経過した頃、私の中でずっと抱いていた何かが噴出し強くて意志のある感情に駆り立てられて遠く離れた世界の地へ向かわせました。
私は自分の場所をやっと探し出したかのような気持ちで、毎日が生き生きとした躍動感と生命力が漲り、喜びに満ち溢れていました。母国の言語ではない言葉もどこか懐かしく、心地よいリズムやその音の響きが私の耳を楽しませてくれました。街を行き交う人々の髪の色や服装、その鮮やかな色合いに心も浮立ち、石造りのその壮観なヨーロッパの街並みの中に私が存在していることが不思議でもあり、まるで昔住んでいた故郷を思い出すような不思議な気持ちにもなりました。
私はイギリスへ渡って間もなく、これまでの私の音楽史にけじめをつけるために師匠を探しました。その出会いは意外にも早く訪れ、私の身体の調整をしてくれるまるでセラピストのようなピアニストでした。私の失敗だらけの音楽史を修正し、希望を与えてくれるきっかけをくれたのです。大切な何かが欠落していた私に”身体の勉強をしなさい”と、神の声とはこのことでしょう。師匠の言葉は、帰国後の私に大きな転機を与えることになりました。
ヨーロッパ滞在中、私は大変素晴らしいセラピストとの最初の出会いがありました。専門知識に溢れ、人間は温かく、全てを包み込むような大きな存在のその人は、どこか私の母に似ていました。音楽の途を悩み、迷いながら歩いていた私ですが、幼かった頃に抱いていた“あの感覚”を思い出し、帰国して本格的にその教育を受けるための学びの場で必要な知識を身につけることにしました。
ヨーロッパへの心の旅は、見いだすことができないでいた私の奥深くに眠るピュアな何かを呼び覚まし、パラダイムシフトを起こすきっか けとなったのです。帰国後、しばらくの間は自己発見からどう表現をしてよいのか、不自由さや不満を抱えたまま過ごしていました。私はできるだけ多くの文化的なシステムから距離をおきシンプルな生活をはじめました。
主流の文化的な生活から一時的に切り離してみると、頭の中が静かになり心は穏やかさを取り戻し、私の身体の中はとても綺麗な状態を体験することができました。健康でいるために食べ物にも興味を持ち、極力生命エネルギーの高い生の食品を取るように心掛けると、煩っていた呼吸器系の病気は自然に消滅し、快適さを取り戻したのです。身体の中が綺麗になっていくのと同時に、私の中に昔から眠っていた根本的なものをよりはっきりと自覚し、新しい意識が生じました。
これまでずっと心の中で気付いていた“あの感覚“を仕舞い込んで、心の表面には出さずに生活を続けました。しかし、身体と心が分離しているかのようで、真の自己ではない自分を受け入れられず、迷いや不安に苛まれることもしばしばありました。ある時、オランダに住む尊敬するセラピストから”あなたはここに居てはいけない。もっと広い世界へ行きなさい“と告げられ、私はその意味をよく理解できました。私の心は、いつでも美しく豊かに広がる世界へ旅することを望んでいるのです。
ヨーロッパの地へ向かわせた心の底から迸るエネルギーは、音楽の師匠や素晴らしいセラピストや素敵な知人達との出会いを心が欲したのでしょう。私の心に素直に従うなら、遠い昔から持っている“あの感覚”をもって調和のエネルギーを多くの人に伝え、癒すことが私の本来の役割であり、願いでもあります。想い通りにならなかった、私をひどく悩ませた音楽を手放すことなく親しんでこられたのは、無限の宇宙を想わせる美しく神聖な響きが、心の奥深く細胞の隅々まで染みわたり、静けさと穏やかさで満たし、私の中のあらゆるものを浄化して溢れる涙で洗い流し、温かく包まれるような感動を齎してくれたから。
幼い時、教会音楽やバロックの古めかしい響きの中に心の目で宇宙を感じられた体験は、大人になった今でも鮮明に蘇ります。順風満帆に歩めなかったものの、私の本来の道へ戻るための必要な カリキュラムだったのかもしれません。音楽によって築かれた私の中の“小さな遺跡”をこの先もずっと慈しみ大切にしていきたいと思います。長い間、分離された私の心と身体はやっと1つになり自己を認識し、私が私であることのすべてを受け入れる時がやっと訪れたようです。
Energy Therapist Miki HAYASHI

みなさまにお会いできるのを楽しみにしています♪