ピアニストからだ理論 <13>
からだの不思議 “解剖学のお話し”
「骨の名称:手の構造」
*2011~2014年まで”ameblo.jp/sinfonian/"内で「演奏のための機能解剖学」としてご紹介していた中からの抜 粋です

人間の手や腕は、信じがたいほどの柔軟性があり、筋肉や神経、血管などが複雑に網状に分布しておりこれほどまでに巧緻な動きができる優れた装置は他にはないでしょう。指先には、おびただしいほどの神経があり数千という感覚受容体からその信号を受け取っています。畝状(うねじょう)の皮膚の下には脂肪層があるため、掴む、握る、押す、つまむ、叩く、などの動きが苦痛なくでき、ピアノの打鍵の際にも脂肪層がクッションの役割をしてい ます。
【皮膚の3構造】
[表皮] 角層 → 顆粒層 → 有棘層 → 基底層
[真皮] 繊維芽細胞、コラーゲン、エラスチン、基質
[皮下組織] 脂肪
指先の敏感な感覚は、皮膚の中にある神経末端と感覚受容器が多く集まっており、これらがメッセージを脳へ送っています。即座に身体が反応できるのは(神経末端と感覚受容器の働きにより脳へ伝達)、筋肉と骨を結ぶ強固な腱があるためです。
【手の骨】
私達が最もよく使う手の解剖学のお話です。まず、骨の名称からはじめます。イラストをみながら読み方を確認してみてください。解剖学的には、手を大きく3つの部位に分けていますのでそれぞれどんな骨で形成されているのか、骨の名称と共に形状も確認しましょう。私のレッスンでは、受講生の方に骨のイラストを書いもらっています。大切な事柄は、文章であれば「写経」を、イラストであれば「模写」をして覚えるのがとても効率がよいです。解剖学図を真似して実際書いてみることは、自分の身体の構造をイメージしやすくなります。是非やってみて下さい、驚くほど頭に入ります。

手の骨格は、3つに大別されます。(イラスト:3つの色で示されている)
1つ目:(第1列:黄色)
上腕の骨と連結している4つの手根骨「近位手根骨(きんいしゅこんこつ)」、
・舟状骨(しゅうじょうこつ)
・月状骨(げつじょう骨)
・三角骨(さんかくこつ)
・豆状骨(とうじょうこつ)
2つ目:(第2列:青)
手根骨2列目「遠位手根骨(えんい・しゅこんこつ)」を形成している4つの骨、
・大菱形骨(だいりょうけいこつ)
・小菱形骨(しょうりょうけいこつ)
・有頭骨(ゆうとう・こつ)
・有鈎骨(ゆうこう・こつ)
5つの長骨(ちょうこつ)から成る中手骨(ちゅうしゅこつ)と連結。中手骨は、おうぎ状に広がり手掌の骨格を形成。
*手根骨は8つの骨から成っており、手根部では4つの骨が2列に並んでいる。
3つ目:(ピンク)
中手骨は、それぞれ指節骨(しせつこつ)と繋がり、親指は2つ、その他の4指(人差し指、中指、薬指、小指)は3つの指節骨を持ち、これらの指節骨が指の骨格を形成。
セラピスト林美希
著書「よくわかるピアニストからだ理論」(出版社ヤマハミュージックメディア)の中で解剖学について執筆させて頂きました。ピアニストの方やピアノ指導者、ピアノ研究家、熱心なピアノ愛好家、調律師等皆様のお役に立てれば幸いです。