ピアニストからだ理論 <10>
からだの不思議 “解剖学のお話し”
「運動能力」
*2011~2014年まで”ameblo.jp/sinfonian/"内で「演奏のための機能解剖学」としてご紹介していた中からの抜粋です

オハイオ州立大学の組織心理学者エドウィン・フライシュマンは、25年という歳月をかけてさまざまな運動作業を実験的に行い、運動を遂行するための人間の運動能力はどのようなものがあるのか、次の2種類の共通する因子に分類しました。
① 正確なコントロール腕、手、足の筋を使う時に必要で、細かくて、高度に制御できる調節を必要とする
② 多肢間の協調 手足を協調させる能力
③ 反応の検討をつける能力視覚で弁別する反応に必要となるもので、運動パターンの方向や空間における一位置付けをする
④ 反応時間刺激に反応するとき、スピードを上げる能力
⑤ 腕のの筋肉スピード大きな腕運動をする時、正確さを必要としないスピードを出す能力
⑥ 変化率のコントロールたえず移動する目標の速度や方向の変化について、予期的に運動調節を行う能力
⑦ 手の巧緻さ大きな物体を腕や手でで取り扱う時の能力
⑧ 指の巧緻さ指で小さな物体を扱うときの能力
⑨ 手棟での力を持続させる能力速度を必要としない、腕と手の位置を一定に保能力
⑩ 指、手首のスピード鉛筆で速いタッピング作業をすることで測定される能力
⑪目標付けの能力速いスピードで、小さい丸の中に点を記入するようなテストで測れる能力フライシュマンは、次の能力について身体的運動能力とかぞえています。
⑫ 体幹の柔軟さ体幹筋や背筋を、前後にできるかぎり屈曲する能力
⑬ 動的な柔軟さ異常に伸張された状態から急に屈曲する能力
⑭ 瞬発力爆発的な動作を行うために、瞬間的に大きな力を出す能力
⑮ 静的な力くりかえし、または持続的に力を出す能力
⑯ 動的な力短時間に出す最大の力
⑰ 体幹の力特に腹筋に特異的な動的な力
⑱ おおまかな身体の協調おおきな身体の働きをすうことで身体の様々な部分を協調的に動かす能力
⑲ おおまかな身体の平均目隠しをした状態で、平均を乱す力がかかっても平均を保てる能力
⑳ 長時間にわたって最大限を続けられる能力
(「手と脳」著久保田競より引用)
このような運動能力が集まって、これらの能力をベースに手の器用さというのが成立されるということなのです。
セラピスト林美希
著書「よくわかるピアニストからだ理論」(出版社ヤマハミュージックメディア)の中で解剖学について執筆させて頂きました。ピアニストの方やピアノ指導者、ピアノ研究家、熱心なピアノ愛好家、調律師等皆様のお役に立てれば幸いです。