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ピアニストからだ理論 <7>

からだの不思議 “解剖学のお話し”
「前腕と上腕の骨の尺側偏位」

*2011~2014年まで”ameblo.jp/sinfonian/"内で「演奏のための機能解剖学」としてご紹介していた中からの抜粋です






*レオナルド・ダ・ヴィンチ解剖図 イタリア・ルネサンス期の万能の天才と言われた。 多くの人体解剖図を描き医学的にも非常に優れていたとされる。
*レオナルド・ダ・ヴィンチ解剖図 イタリア・ルネサンス期の万能の天才と言われた。 多くの人体解剖図を描き医学的にも非常に優れていたとされる。


指、手、腕は、ピアノ演奏に最も関連のある身体部位です。特に故障に苦しむピアニストやピアノ指導者の方、愛好家の方にとって重要な知識となります。身体の構造がわかれば、機能が推測できるようになりますので解剖学的な視点でのピアノ学習をお勧め致します。


前腕の2つの骨と上腕骨


前腕(肘関節よりも下部分)には、親指側に橈骨(とうこつ)小指側に尺骨(しゃっこつ)の2つの骨があります。前腕はどのような動きをするかというとピアノ演奏で最も良く使う回転の動作、そして肘関節からの屈曲(曲げる)と伸展(伸ばす)動作です。肘の関節は3つの骨から成っており、前腕の中にある2つの骨の橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)、上腕の中にある上腕骨(じょうわんこつ)で構成されています。肘関節は簡単に言うと上腕骨と前腕の2つの骨をつなぐ関節です。

前腕が回転するために動いている骨は、橈骨と尺骨の2つのうちの1つの骨(橈骨)で、橈骨(とうこつ)側の関節部分が回転運動(内側への回転:回内運動-かいないうんどう/外側への回転:回外運動-かいがいうんどう)をしています。つまり前腕の回転は、小指側の尺骨(しゃっこつ)が軸となっているわけです。回転する方の橈骨(とうこつ)は直接上腕骨との接合はなく、回転の軸となる尺骨(しゃっこつ)だけが上腕骨と接合しています。


★ 橈骨(とうこつ)は、たわむ骨と書きます。橈骨がたわんでいるため、尺骨(しゃっこつ)とぶつからずに交差することができます。ピアノ演奏時の手は床を向いていますが、この時、橈骨(とうこつ)は交差している状態です。


尺側偏位(しゃくそくへんい)


ピアノ演奏の時の正しいフォームは、前腕の中の小指側にある尺骨(しゃっこつ)が小指まで一直線のラインになるような、小指主導型でなければならない、と別の記事に書きました。しかし指の動きにくさや痛みや故障を訴える人は、ほとんどが親指主導型になっています。親指主導型とは、前腕の回転をする方の骨である橈骨(とうこつ:たわむ骨)が、親指と一直線になるような動きを言います。


親指主導型の動きで弾いている人は、前腕の中にある2つの骨(尺骨・橈骨)とそれを繋ぐ肘関節、上腕骨の構造を知らないためにそのようなフォームになってしまうのです。上腕骨と小指側の尺骨は、接合していますので尺骨は前腕の回転動作の時には動きません。尺骨は、回転の軸となる骨です。動く方の骨である橈骨を親指主導型にして軸にしてしまうと、指の動きは鈍くなり、ぎこちなくなってしまいます。親指主導型の特徴は、小指側に手が曲がっていく、傾いてしまう、ねじれるような動きになるので尺側偏位(しゃくそくへんい)という呼び方をします。これは、身体の構造上、正しい使い方ではありませんので早急に矯正が必要です。慢性的な尺側偏位(しゃくそくへんい)の症状の場合には、数年かけて矯正をしなければならないこともあります。



親指主導型の動きでは、親指の自由さが奪われるのでコントロールが難しくなります。ピアノを親指主導型で弾くと手は小指側に向いて、指は小指側に倒れるような格好になります。鍵盤に対して指が少し斜めになり前腕のひねりも不十分になっています。指の動きの鈍さや疲労、痛みや故障は、前腕の回転軸を親指側(橈骨)で回転させようとしているからであり、回転している前腕の動きを手首で起こると勘違いしているからなのです。(前腕の回転(回内:かいない/回外:かいがい)運動は、手首では起きません)


繰り返しになりますが解剖学上、前腕の回転をする時には小指側にある尺骨(しゃっこつ)は動きません。小指主導の場合には、橈骨(とうこつ)が尺骨の周りを動くわけですが、親指主導型の動きをすると動く方の骨である橈骨(とうこつ)を安定させようとしてしまいます。前腕を回転させるために働く筋肉は、前腕の深部にあり、指を動かすための筋肉は、表層にあります。親指主導の動きをしている場合には、表層の筋肉と腱が沢山の活動をしなければならない状態にあるので、ストレスがかかり酷くなると炎症などの症状が伴います。


親指主導型の動きをしてピアノを弾いている人の特徴は、小指や薬指が弱いと思い込んでいることです。小指や薬指は弱い指ではない、と説明するととても驚かれてしまうのですが小指主導型のフォームが取れるようになり、長さの違う小指と薬指の鍵盤への着地点を腕を手前と置く側に調節しながら弾くこと(肩関節の柔軟な動き)が出来さえすれば安定した指だと自覚することができます。親指主導の動きを真剣に直したい意志のある人は、ピアノを弾く時だけではなく、ペンを持つ手、テーブルーにつく手、ノブを回す手、物を取る手など、普段の生活の中でも意識的に小指主導のポジションが取れるようにすることが大切です。小指主導型が身体可されるまで、毎日毎日手の使い方を注意深く観察し、解剖学的に正しい身体の使い方を頭で考え、実行することです。そうすれば、親指主導型の動きは、少なくなっていきます。ある日突然、わかる日、できる日がやってきます。

 

 

セラピスト林美希





著書「よくわかるピアニストからだ理論」(出版社ヤマハミュージックメディア)の中で解剖学について執筆させて頂きました。ピアニストの方やピアノ指導者、ピアノ研究家、熱心なピアノ愛好家、調律師等皆様のお役に立てれば幸いです。

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