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ピアニストからだ理論 <4>

からだの不思議 “解剖学のお話し”
「身体のメカニズムを知ること」

*2011~2014年まで”ameblo.jp/sinfonian/"内で「演奏のための機能解剖学」としてご紹介していた中からの抜粋です






*レオナルド・ダ・ヴィンチ解剖図 イタリア・ルネサンス期の万能の天才と言われた。 多くの人体解剖図を描き医学的にも非常に優れていたとされる。
*レオナルド・ダ・ヴィンチ解剖図 イタリア・ルネサンス期の万能の天才と言われた。 多くの人体解剖図を描き医学的にも非常に優れていたとされる。


ピアノを演奏するのには「身体に関する知識が必要」というお話は以前にもこのブログの中でお伝えしました。何故ならば、ピアニスト、ピアノ講師、愛好家、趣味で弾いている人の大多数の人が不適切な姿勢の取り方や筋肉を使いすぎていることでピアノ演奏の可能性を狭めているからです。


将来専門家になるわけでもない趣味で習っている人に、身体の勉強をして下さい、と言ってもそこまでの勉強はしたくないでしょうしピアノそのものが楽しくなくなってしまう危険性を孕んでいるのもわかっています。医者になれるほどの勉強が必要だと言っているのではなくピアノ演奏に最低限必要な身体の知識はあった方が良いのです。もし、指が動きにくい、ある特定の音型が弾きにくい、指がつれる、音が凸凹する、フォルテの音がわれる、ピアニッシモの音が掠れる、色彩が乏しい、身体のどこかが調子が悪い(痺れる、腫れる、痛む)などということを感じているならば身体に関する知識は必ず役に立ちます。


ピアノを弾くのによく使う身体部位は、言うまでもなく「指」です。考えるべきスタート地点は、指が問題なく動くことでありとてもシンプルなのです。それにはどのように身体を使えば良いのか?解剖学的見地から一度は勉強してみて欲しいのです。

ピアノというのは、技術がなくては表現ができません。その技(わざ)を体得するには、なんとなく練習曲をこなすという漠然とした感覚だけに頼るのではなく、頭で理解しながら目的をもった意識的な練習を積んで発展応用させていくものだと私は思っています。身体のメカニズムについての知識は、技(わざ)の習得には必要不可欠なものであって決して無視してはならない問題ですし、ぞんざいに扱ってはいけません。


特にピアニストの方は自分の身体能力を最大限に機能させたいと願っているはずですから身体のメカニズムに関する知識は充分にあった方が良いでしょうし、教育に関わる指導をしているピアノ講師の方ならば、これからピアノを習う全ての人により一層ピアノ演奏の魅力を伝えるためにも身体の知識が少しでもあればより生徒さんにとって説得力のあるものになるのではないかと思います。



前腕の筋肉の働き


指を動かしている筋肉はどこにあるかというと前腕の中にあります。空中で指をピアノを弾く時のように動かしてみると上下の運動をします。上下運動をさせている筋肉群は前腕の中にあって、指を上げる場合の筋肉群は前腕の表側の伸筋(しんきん)、下げる場合は裏側の屈筋(くっきん)です。この2つの伸筋(しんきん)屈筋(くっきん)は、収縮と弛緩を交代で働くというメカニズムによって指の動作が繰り返し行うことができるのです。


もし一旦収縮された筋肉が元の状態にすっかり戻っていない状態でさらに打鍵を繰り返せば、さらに過度な刺激を与え続けることになり高い緊張状態に筋肉はさらされることになります。それがやがて痛みや腫れ、痺れという深刻な事態へ繋がっていきます。このような症状を私達が自覚できるのは、神経中枢への信号が送られた結果です。筋肉は一度収縮させてしまったら、相反する筋肉の動き(弛緩)がなければ元の状態には戻りません。もう一度筋肉を動かすためには、もう一方の筋肉が働いて交互に収縮と弛緩を繰り返すことによって連続した動きが実現されるというわけです。


指が最も素早く動くためには、前腕の筋肉の交互の働きがスムーズに行われる必要があります。そのためには、基本となるフォームがとても重要です。手は、小指主導型に鍵盤の上に置き、前腕は小指側面から前腕の外側面が一直線になるように構えることです。各指は、鍵盤に対して真っすぐに置かれることになり、前腕もその延長線上にある状態が素早く指が動くためのフォームです。そして、上腕は胴体に密着させることなく、脇の下にゆとりをもたせるような感じでわずかに隙間を作るようなイメージで浮かせるような感じにすると(肩を持ち上げるのではない)前腕の内転運動(演奏する時の手のフォーム)によって尺骨と橈骨が交差された「ひねりの状態」が緩和された状態を作ることができます。ふんわりと手をピアノの鍵盤の上に置くという言い方をすると腕から手までの全体のイメージが掴めるでしょうか。


前腕にある筋肉が疲労を感じた時には、すぐに練習をやめてください。指が弱いから鍛えなければいけないと思い込み、指を鍛えるための特別なトレーニングと称して前腕にある筋肉を酷使しているならば、やがて深刻な病気になる可能性はとても高いと言えます。「鍛えなければいけない」「鍛え上げる」などという考え方には私は大反対です。なぜならば、そのような考え方(指導)によって私自身が長年にわたり深刻な病にかかり、もう少しで手遅れになるほどの経験をしたからです。セラピストになり身体の勉強をしたのも、これからの若い世代が身体的な問題を抱えることなく正しい知識と使い方によってピアノで創りだす音楽の可能性を広げていって欲しいという願いからです。


指が弱い、という言い方をすると鍛えなければいけない、という考えに結びつきやすいのですがそうではないのです。鍵盤を下へ押し下げるのに必要な力は、発育途中の小さな子供を除けばすでに備わっていますから筋肉を鍛える必要はありません。繰り返しになりますが、指を動かすための筋肉は前腕にあります。前腕にある筋肉が滑らかに交互に動くためには、基本のフォームを正しく取ることが先決です。そして打鍵をする時には、指は下へ動くわけですから前腕の裏側の屈筋が収縮します。大抵の場合、打鍵が強すぎてしまうために屈筋が疲労しやすい傾向があります。


あなたにとって正しい姿勢が取れたなら、今度は、打鍵のスピードを考えてから指をおろすことです。もし鍵盤がサクランボでできていたら、どんなふうに弾きますか?あるピアニストの話ですが、いつも打鍵をする時にはサクランボを潰してしまわないような感覚を持って弾くそうです。全ての場合に当てはまりませんが鍵盤を筋力で叩けば筋肉を使いすぎてしまいます。一例ですが、サクランボのイメージを持って鍵盤に指をおろせば、きっと柔らかな音がでるはずですし筋肉を使いすぎることもなくなります。なめらかに指が動くために、基本となる手や腕のフォームをもう一度見直してみてください。そして、前腕の中にある筋肉の働き(収縮と弛緩の相互作用)を思い出してください。指の自由を奪うような不自然なフォームや筋肉の使い方さえしなければ、ある一定の水準まで技術を体得することができるのですから。

 


セラピスト林美希





著書「よくわかるピアニストからだ理論」(出版社ヤマハミュージックメディア)の中で解剖学について執筆させて頂きました。ピアニストの方やピアノ指導者、ピアノ研究家、熱心なピアノ愛好家、調律師等皆様のお役に立てれば幸いです。

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