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ピアニストからだ理論 <3>

からだの不思議 “解剖学のお話し”
「ピアノの基本姿勢」

*2011~2014年まで”ameblo.jp/sinfonian/"内で「演奏のための機能解剖学」としてご紹介していた中からの抜粋です






*レオナルド・ダ・ヴィンチ解剖図 イタリア・ルネサンス期の万能の天才と言われた。 多くの人体解剖図を描き医学的にも非常に優れていたとされる。
*レオナルド・ダ・ヴィンチ解剖図 イタリア・ルネサンス期の万能の天才と言われた。 多くの人体解剖図を描き医学的にも非常に優れていたとされる。


ピアノ学習の導入の時期に、姿勢について詳しく習ったことがあるでしょうか。良い姿勢がどうであるかなど何十年もピアノを弾いている方にとっては当たり前のことかもしれませんが、自分の身体の感覚的なものを詳細に説明するとなると意外に難しいですよね。子供の頃に習ったことと思いますが、あらためて基本事項についてまとまてみます。姿勢については、基礎的な解剖学の知識なども含め数回に分けて説明をしていきます。まず最初にすることは、


(1)椅子の高さを決める


高さを決める基準は、


  • 座高のたかさ

  • 脚の長さ


に応じて調整します。その時に拠りところとなるのは、


  • 肘の関節

  • 前腕から手首


が、ピアノの鍵盤に対して大体「水平になっているかどうか」確認してみて下さい。もっと細かく指示ができますが、解剖学の知識をある程度勉強してからの方が理解が深まるので、まず上記の3つの条件を覚えておいて下さい。ピアノに関する本を何冊も読んでいる人なら鍵盤に対して腕が水平になるようにという点については、ご存知だろうと思いますが本によっては、水平よりも肘の位置がわずかに上がっている、という内容のものもあります。どちらが正しいのかということではなく一般的に(標準)水平にする方法をピアノ学習者は第1に実践することをお勧めします。次に、座高の高さと脚の長さにつていですが自分はどちらのタイプか判断して椅子の高さを加減して下さい。


  • 座高の高い人は、椅子を低めに

  • 座高の低い人は、椅子を高めに


脚が床にとどかないほど小さな子供の場合には安定した姿勢を覚えるために足台を下へ置いて下さい。ペダルが付いたタイプの足台もありますが、絶対にペダル付いていなくてはならないということではありません。なぜなら、ピアノの椅子に座って足がぶらぶらとしてしまうほど小さいお子さんの場合には、肉体的にも成長段階にあり、筋肉がまだ十分に発達していませんので、力がなくペダルを踏む動作が大抵うまくいきません。足が床にとどく背丈になってからペダルの操作の勉強に具体的に入ったほうが良いと考えています。


(2)ピアノの鍵盤と椅子の位置と方向


椅子は、88鍵ある鍵盤の中心に合わせてまっすぐに置いて下さい。椅子が横に長いタイプでも背もたれがあるタイプ、丸いスの場合も同じです。椅子の位置を全く気に留めずどちらか左右にずれたまま座ってしまう人もいるので、目測で構いませんので必ず確認することを習慣にしましょう。


  • 椅子は、ピアノの中心に合わせて置く

  • 椅子は、ピアノに対してまっすぐに置く


次に、ピアノと椅子の距離を適切にするということです。身体つきには個人差がありますからちょうど良い位置関係というのを最初のうちは特に意識をして考えて決めて下さい。


  • 身体つき、大きさ

  • 腕の長さ

  • 座高の高さ

  • 脚の長さ


注意すべき点は、ピアノから離れすぎても近すぎてもよろしくありません。


  • 手が、左右に十分に伸ばせる

  • 手を、交差して演奏できるゆとりはあるか

  • 肘が、正面の鍵盤を弾くときに自分の上体にぶつからないか



(3)座る方向と脚


ピアノに腰掛けたらピアノに向かってまっすぐに座ります。そして脚はやや開き気味にします。足先はペダルに軽く載せて、踵は床につけます。


  • ピアノに向かってまっすぐ座る

  • 脚は、開き気味にする

  • 足先は、ペダルの上に軽く載せる

  • 踵は、床につける


下記のような悪い姿勢にならないように気をつけて下さい。


  • 両足を揃えたまま、くっつけたまま座る

  • 踵が床から浮いてしまう

  • 脚がつっぱってしまう

  • ペダルの下へ足を入れて、潜り込ませる

  • 両足を極端に開きすぎる



(4)演奏姿勢


日本でもやっとこの10数年ほどの間に、演奏するからだ(姿勢)についての本が出版されるようになりました。それまではあまり積極的には指導もされていませんでしたし演奏家にとって身体についての知識が豊富という人も少なかったのではないかと思います。


手のフォーム(自然なアーチ型にする)や指の角度などについては勿論大切なことですが、身体全体の姿勢ということになると、筋肉や骨、関節(神経系、脳)などの仕組みと働きという部分はほとんど指導されないまま、先生も生徒もおそらく勉強をしたことがない人がほとんどではないでしょうか。からだの姿勢がこんなに大切なのか?問題になることなのか?と思われるかもしれませんが、演奏する上では、非常に大事な事柄ですので今後演奏姿勢に関して少しでも意識を向けてみてください。

良い姿勢とは、いかにも堂々とした雰囲気で坐骨で座り、骨盤は立っている状態(座位姿勢)で背筋がしなやかに伸び(注)、胸は開いているような状態が良いのです。

(注)背骨をまっすぐにする、というのはニュアンスが違います。注目すべきは「骨盤」です


下記のような姿勢はよくありません。


  • 演奏中、感情にまかせて上体をくねくねとよじらせる

  • 鍵盤に顔が近く、上体が前にかがみになりすぎている

  • 足(ほとんどの場合、左)で拍子をとりながら弾いている


これらの癖がある人はすぐにやめましょう。動きが限定されやすく演奏の妨げになります。解剖学にも腰や前腕に非常に負担がかかる弾き方ですので、そのまま続けているといつか身体を痛めてしまうかもしれません。考えられる病名やその症状については別の機会にご紹介致します。

大体「良い姿勢」というと学校で習った「気をつけ」の姿勢をイメージする人が多いのですが、自然な姿勢と硬く不自然な気をつけの姿勢とは全く別のものです。良い姿勢とは、身体を自由にやわらかく使えることが大前提であって不自然に身体を硬くしてしまうのではありません。


演奏中に、鍵盤の端の方を弾く場合には上体がやわらかく左右に傾き、それに伴って支えている左足のアーチ構造の重心が傾くのは正しい身体の使い方になります。硬くしていたのでは、この自由な身体の動きが妨げられてしまいます。忘れがちな事柄として、足の動きについても触れておきます。演奏を妨げないようにするには、鍵盤の左右の端の方を弾く場合にはまず身体が十分に安定を保っていなければなりません。


左端を弾く場合には、


  • 上体を左の方へ傾ける

  • 左足を前へ出す(わずかに、半歩くらい)


右端を弾く場合には、上記の要領と同じですが、ペダルをずっと踏んでいなければならない場合には、上体を支えている腰をしっかりと据えて上体を十分に右へ傾けて安定させて演奏するようにしてください。鍵盤の端の方を弾く場合に、足を半歩ほど前に出すことでそれが支えとなりつっかえ棒のような役割をしてくれますので身体全体に安定感を得ることができます。

足の位置が動くときは、あくまでも鍵盤のかなり端の方を演奏する時に動かすのであって、通常は、基本の位置に置いて置くのが正しい演奏姿勢です。演奏を妨げない身体の基本姿勢というのは、表現を変えると、演奏を自由にさせるというわけですから「身体全体で演奏を助けてあげる」といったイメージを持たれるとよいのではないでしょうか。

 


セラピスト林美希





著書「よくわかるピアニストからだ理論」(出版社ヤマハミュージックメディア)の中で解剖学について執筆させて頂きました。ピアニストの方やピアノ指導者、ピアノ研究家、熱心なピアノ愛好家、調律師等皆様のお役に立てれば幸いです。

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