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ピアニストからだ理論 <20>

からだの不思議 “解剖学のお話し”
「指の独立と親指」

*2011~2014年まで”ameblo.jp/sinfonian/"内で「演奏のための機能解剖学」としてご紹介していた中からの抜粋です






*レオナルド・ダ・ヴィンチ解剖図 イタリア・ルネサンス期の万能の天才と言われた。 多くの人体解剖図を描き医学的にも非常に優れていたとされる。
*レオナルド・ダ・ヴィンチ解剖図 イタリア・ルネサンス期の万能の天才と言われた。 多くの人体解剖図を描き医学的にも非常に優れていたとされる。


ピアノを弾いている人であれば、親指は、特別で重要な存在ということはすでにご存知のはずですね。親指は他の4指(人差し指・中指・薬指・小指)とは、見た目にも違いがあるように、その役割や特徴も異なっています。まず、すべての指は、ピアノを弾く際に、参加している身体の他の部位と比較すると主役になります。実際に鍵盤に触れているのは、指先(+ペダルを踏む足)ですから、個々の指を動かす為に他の身体部位は、指を助けるために相応しい動きをしなければなりません。身体を固くして弾いている人は、鍵盤に触れている指だけでピアノを弾いているように見えます。指が身体から孤立した一部、といった感じでしょうか。鍵盤を弾く、今まさに動かしている指からまっすぐに前腕の筋肉を使うイメージで、と説明しています。これはどういうことかと言うと、前腕の中にある指を動かしている筋肉に対して、腱を延長した一本のラインのように使うことです。


指の付け根からぱらぱらと動くイメージと、指が前腕の中まで真っすぐに繋がっているような感じで動かすのでは、身体の感覚は全く違うと思いますが、前腕まで、動いている指が真っすぐに伸びているようなイメージを持って弾くと、ポジションの移動がそれに伴って、前腕、上腕が適切な位置にくるようになります。適切な位置にくるように、もちろん微調整をしなければなりませんが、指だけが身体の一部として孤立しているように動かすのとは違って、ラインを意識することで、個々の指の動きがとても楽になりますし、身体で助けてあげるという理想的な動作となります。これを意識しないと、ハノンやチェルニーの練習をメトロノームに合わせて、リズム練習など何時間をしても、指の特性にあった、指の自由さや独立した動きを得ることはできません。練習しているはずなのに一向に指のコントロールが上手くできないという人は、指から前腕までの一直線に伸びるラインを意識してみてください。


指が弱いと思っている人や、動きが鈍いと思っている人は、是非練習の時にラインを意識して下さい。協調性の高い動きという言葉を私はレッスンで何度も使いますが指だけが一生懸命に働くのではなくて、前腕、上腕、肩周辺の筋肉などが相互に助け合うことによって、指の動きは解放されて動きやすくなるのです。腱鞘炎などになりやすい人であれば特に、ラインの意識は重要です。手や手首を固定したまま、無理に指を動かそうとすると、その動きを身体が覚えてしまい、常に緊張し疲労しているにも関わらずそのような感覚が麻痺して慢性化してしてしまいます。それがやがてピアニスト特有の病気となり、音質も固く響きにも悪影響を及ぼすのです。それぞれの指は、長さも太さも形も少しずつ異なっていますね。特に、親指は構造も違います。下記の解剖図で確認してみてください。クリックすると大きな画面になります。



(解剖図:アイリスより引用)
(解剖図:アイリスより引用)

それぞれの特徴のある個々の指を使って、私達は音が均等になるように調整しなければなりませんが、例えば、スケールを弾く時には、特に指の不均等さが露呈しやすくなります。ではどのように微調整をして均等にするかと言えば、手首+前腕+上腕を指の自然で自由な動きに合わせて常に細やかにポジションを変えてやることです。

解剖図を見ると、親指は他の4指とは違って、2つの指骨しかありませんが、他の指には、基節骨、中節骨、末骨、と3つでできています。基節骨、中節骨、末骨を総称して、指骨と呼びます。親指は、とても機敏で強く、動きやすい指である反面、音楽的な音ではない音を出してしまいやすいコントロールの難しい指でもあります。それは他の4指とは異なる構造のためです。他の4指は指が動く作用点が、指の付け根からであるのに対して、親指は、中手骨が手首に繋がっている部分からなのです。(解剖図で確認して下さい)


親指は、他の4指とは構造が違うわけですから、扱い方を変えなければいけません。扱い方というのは、手首のポジションの移動のことです。手を眺めればわかりますが、鍵盤に手を置いたときの4指は親指よりも高い位置にあり、ゆるやかなアーチを描いています。そして親指の側面は鍵盤に軽く触れており、他の4指よりも低い位置にあります。打鍵をするときに指はどのように動いているかというと、垂直方向に動いています。というよりも、そのようにしか動きませんから、なめらかに垂直の打鍵がされるためには、親指は他の4指とは違う作用点から垂直運動が起こるわけなので、正しく垂直運動が起こるポジションに手首を動かしてあげる必要があります。

他の4指と親指の作用点(垂直に働くところ)が違うのですから、親指で弾くときのポジションの移動は大変重要となります。スケールやアルペジオのように、水平方向に指を走らせる場合には、指が打鍵する垂直の運動と水平の運動の2つの動作をスムーズに連動させなければなりません。


先ほど説明したラインのお話を思い出してほしいのですが、親指で弾くときは、親指から前腕の内側がまっすぐになるような使い方をします。そして手首は、常に低めにしてください。スケールを弾く時に、親指からはじめて2の指(人差し指)3の指(中指)へ移行する場合には、手首の動きは、低い位置からわずかに高くしてください。手首を固めて弾いているとは、特にこの時で、親指の垂直運動の作用点と他4指の作用点の位置関係(高さ)が違うのですから、それに合わせた動きをしなければならないのです。打鍵という動作は垂直の動きですから、個々の指に合わせて常に手首、前腕、上腕の垂直と水平方向へその都度、最適な位置にくるように微調整が欠かせません。解剖学的な知識は、身体を上手く使うことができない場合には、その理由を教えてくれます。漠然としたイメージや誤った考え方を正しい方向へと導いてくれます。ピアノと解剖学の関係は、想像以上に密接な関係があります。



セラピスト林美希





著書「よくわかるピアニストからだ理論」(出版社ヤマハミュージックメディア)の中で解剖学について執筆させて頂きました。ピアニストの方やピアノ指導者、ピアノ研究家、熱心なピアノ愛好家、調律師等皆様のお役に立てれば幸いです。

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